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「こころとからだの学習」裁判の最高裁決定を受けて

■ 声明 「こころとからだの学習」裁判の最高裁決定を受けて
2014年1月11日
一般社団法人"人間と性"教育研究協議会(『性教協』)幹事会

三度目の勝訴

 2013年11月28日、最高裁判所第1小法廷(金築誠志裁判長)は、都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)で行われていた性教育に都教委・都議ら及び産経新聞社が介入した事件に関し、教員・保護者の上告・上告受理申立と、東京都の上告受理申立、都議らの上告・上告受理申立を、「いずれも棄却する」との決定をしました。
 原告三度目の勝訴により、2011年9月16日に言い渡された東京高等裁判所民事第2部の判決が確定することとなりました。心からの喜びを表明するものです。
 

都議と都教委の違法が確定

 確定した高裁判決の骨子は、「@都立七生養護学校教員への都議らの介入と侮辱は教育への『不当な支配』にあたり違法。A都教委は都議の『不当な支配』から教員を守る義務を果たさなかったとして違法。B七生養護学校の性教育は学習指導要領に違反しているとはいえないので、教員の一部に対する厳重注意は裁量権の濫用。C都議と都教委に、教員に対する210万円の賠償を命令」というものです。
 教員と保護者が求めていた没収教材の返還や、「『産経新聞』の報道は誤報であった」という主張が認められなかった点などについては不満も残りますが、都議・都教委らの「過激性教育」というレッテル貼りが誤りであることをはっきりと示した上に、「こころとからだの学習」を「望ましい取り組み」と評価する判決でした。
学習指導要領について、「教育を実践する者の広い裁量」を強調し、知的障害養護学校の学習指導要領についても、「各学校の児童・生徒の状態や経験に応じた教育現場の創意工夫に委ねる度合いが大きいと解することができる」と述べ、教育委員会の権限について「教員の創意工夫の余地を奪うような細目にまでわたる指示命令等を行うことまでは許されない」とも述べており、教育現場の自主性を広く認める画期的な判決だといえます。
 

学ぶ権利を奪った介入

 七生養護学校の「こころとからだの学習」は、子どもたちの成長・発達と自立とよりよい人生のために、教職員が創意工夫の中で作り上げてきた、「性=生きる」をテーマにした学習であり、保護者・地域・校長会から高い評価を得ていました。
三人の都議らはこの学びを「過激性教育」などと乱暴に攻撃し、介入しました。
「産経新聞」は、大切に保管されている教材人形の性器をわざと露出させた形で並べた写真とともに、「過激性教育」、「まるでアダルトショップのよう」と、非難する記事を掲載しました。
都教委は、現場においてその乱暴な介入を黙認したばかりか、教師たちへのまるで取り調べのような調査を行い、一方的に「不適切教材、不適切な授業」との烙印を押し、服務違反も理由として大量に処分し、教材を没収し、教師を大量異動させました。
こうして、七生養護学校の「こころとからだの学習」は、続けることを不可能にされたのです。
七生養護学校の子どもたちの成長発達と自立に不可欠であった学習を破壊し、学ぶ権利を奪ったことは、子どもたちがよりよく生きようとすることや、子どもたちの生存権に対する攻撃というべき行為でした。

教育への介入を二度と許してはならない

 事実をありのままに見るならば、七生養護学校の「こころとからだの学習」が、子どもたちのために「校長を含む教師全員が共通の理解の下に、子どもたちの実情を踏まえて、保護者とも連携しながら、指導内容を検討して、組織的、計画的に」性教育に取り組んだ、「望ましい取り組み」(高裁判決)であるとするのは当然のことです。
しかし、ひとたび不当な攻撃が行われた時、それに抗して、この当然のことを裁判において確定するためには、事件から10年、東京地裁への提訴から8年にも及ぶ苦闘を必要としたのです。
私たちは、原告・弁護団の皆さんの不屈のたたかいに敬意を表するとともに、全国津々浦々からのご支援に感謝申し上げます。
同時に、教育に対する不当な介入を二度と許してはならないことを、あらためて皆さんに訴えるものです。
 

性の学びはいよいよ必要

 七生養護学校への乱暴な介入と前後して、東京都だけではなく、全国的にも性教育に対するバッシングが強められました。性教協に対しても「過激性教育」などとする非難が浴びせられました。
バッシングによる被害は甚大でした。日本の性教育全体は委縮させられました。
学習指導要領の「受精に至る過程は取り扱わないものとする」という規定は、事実上「受精」そのものや、性にかかわる事象についての指導すらためらわせるものとなりました。
しかし、性の学びの必要性は、以前にもまして大きくなっています。
これまで積み重ねてきた、「科学・人権・自立・共生」をキーワードとした性教育実践を、広範な人々と力を合わせて、豊かに展開して行きましょう。
 

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