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性教育の具体的テーマ

「学校」での実践

性教育のテーマは大きくわけて、「性器」「ふれあい・性交」「ジェンダー」「家族」「多様なセクシュアリティ」「2次性徴」「恋愛・関係性」「性感染症(エイズなど)」「商品化」「性暴力・性的虐待」などがあります。以下、それぞれのテーマで取り上げられる具体的テーマを上げますが、これらは全て、性教協会員が実際に行っている授業の例で、実際は、ここにかき切れない興味深く深い実践が他にもたくさんあり、まだまだ多様な方向に内容を広げていくことができます。
1.「性器」
(小学校・中学校)
▼自分のからだを探検しよう(子どもたちは、最も身近な観察物として、自分のからだに興味を持ちます。特に大人がふれたがらない「性器」には強い関心を持つわけで、そこを避けて通ることはできません。自分の「身体」をまるごと肯定し好きになるように、子どもたち自身がいろいろ発見していく授業ができるといいですね)
▼男の子だって悩んでいる〜ペニス・包茎・自慰(性教育の中で、女の子の初経に比べて、男の子の性はなおざりにされがちです。すでに、ペニス(形・大きさ……)・包茎・自慰などに関する悩みははじまっています。女の子とともに、お互いの成長の過程の問題を共有しあえるといいですね)
2.「ふれあい・性交」
(小学校)
▼わたしのはじまり〜赤ちゃんはどこから〜(子どもたちの最大の疑問である「赤ちゃんはどこから」は、自分自身がどうしてここにいるのかという自己確認のひとつでもあるはずです。そうした子どもたちの切実なニーズに応える、明快な構成ができるといいですね)
▼いやなときはNOといおう(すてきな「ふれあい」が学習できなければ、子どもたちにとって、暴力的、あるいは人を傷つけるような関係との違いも理解できないでしょう。性交を学ぶ中で、その負の側面としての「性被害」を食い止めるきっかけになれるといいですね)
▼人はなぜセックスするのだろう(小学生にとって性交は、もはや「大人のやってること」ではありません。自分の性欲といった内面から、社会にあふれる性情報までをとりあげて、性交の意味〜「なぜするのか」という素朴な疑問から〜や様々な正負の側面まで考えられるといいですね)
(中学校)
▼避妊・中絶を知り、その意味とそこにつながるコミュニケーションを考える(性交を考えていくと、それに伴って起こりうることまで、視野に入れざるを得なくなってきます。お互いに最高な「ふれあい」とはどんなものかをイメージしながら、避妊や中絶の問題を自分に引きつけて受け止められるといいですね)→恋愛・関係性にもつながる。
(高校)
▼ピルから見えてくる性のあり方(低容量ピルが使えるようになりましたが、その情報や意義は正確に伝えられていません。このことは性交のイメージの貧困さともつながっています。低容量ピルについて知る中で、性交の様々なあり方と自己決定能力を考える助けになるといいですね)
3.「ジェンダー」
(小学校・中学校)
▼「女の子」「男の子」それとも……(子どもたちは、すでに幼稚園の段階で、周囲から(特にマスコミによって)明確に「らしさ」を学習しています。「女のくせに」「男でしょ」などと。女と男の2分法が絶対ではないことまでを視野に入れて、常識に縛られない感性を伝えられるといいですね)
▼どうしてランドセルの色は決まっているの?(ランドセルの色から、教員の何気ない一言まで、学校の「常識」が子どもたちに、固定的なジェンダー感覚を押し付けています。この「隠れたカリキュラム」の現実を直視し、ひとりひとりが「自分らしく」生きられる方向を模索できるといいですね)
(中学校・高校)
▼「あなた作る人、わたし食べる人」は、今(男性は「会社人間」として働き、女性は家事をして支える、という形で経済成長の基礎を築き、その結果破綻したはずの価値観が、いまだに残っていて、人生の選択肢を狭めています。改めて、それをどう超えて新しい関係性を創るかを追求できるといいですね)
4.「家族」
(小学校)
▼いろいろな家族(子どもたちの視点は、自分から家族へと広がっていきます。自分の家族を見つめながら、家族もひとつの固定的なイメージではとらえられず、さまざまな形があることを知り、それらを受け入れられる柔軟なイメージが持てるといいですね)
(中学校・高校)
▼自分の家族と理想の家族〜結婚制度・離婚・新しい家族像を考える〜(子どもたちは、自分の家族の現実を認識する中で、自分なりの家族イメージを持ち始めます。そこには、社会の多様な現実が反映されているはずです。離婚やシングルライフや同性カップルなど、新しい家族像や制度の問題点まで話せるといいですね)
5.「多様なセクシュアリティ」
(小学校)
▼人を好きになる〜恋愛感情と対象の多様さを知る〜(この時期には、同性指向の子どもたちの多くが、自分の指向性を意識し周囲との違いを意識し始めます。恋愛感情のエネルギーと豊かさを感じながら、その対象が多様であることを受け入れ、その結果、同性指向の子どもたちが自己否定的にならない状況が作り出せるといいですね)
(中学校)
▼恋する心〜同性愛と異性愛を知ろう〜(同性愛の子どもたちは、嘲笑の対象にすらなり、正確な情報からも遮断されて孤立する中で、異性が好きなふりを強いられてさえいます。そこから、異性愛についても、 実はいろいろな枠にはめられていて、解放されていないことも見えてきます。同性愛を知ることから、異性愛についても見つめ直せるといいですね)
(高校)
▼異性愛って何?〜多様なセクシュアリティと関係性を考える〜(異性愛が当たり前で何も疑わないというのが社会の常識ですが、結婚制度や関係の創り方などにおいて、幻想や企業の宣伝に乗せられているだけの部分もあります。同性愛者の置かれている現状〜差別から、常識にとらわれない新しい関係性が創れることまで〜を通じて、異性愛のあり方まで改めて見つめ直せるといいですね)→恋愛・関係性にもつながる
▼さまざまな性の表現〜トランスジェンダー・トランスセクシュアル・インターセックスを知る〜(性別はふたつだけで「女(男)らしい」のは当然、という社会の刷り込みは強烈なものがあり、そこから(性自認・ジェンダーが)はみ出す人たちは、偏見と差別に囲まれて大変息苦しい生き方を強いられています。そうした人たちの生き様を理解することを通じて、常識を超える、しなやかな感性につながっていくといいですね)
6.「2次性徴」
(小学校・中学校)
▼大人に近づくわたしたち(子どもたちは、自分の身体の変化に敏感です。変化していく自分を、否定的にとらえてしまうことすらあります。子どもたちが、射精・月経にはじまる劇的な大人への変化を、自分の成長としてしっかり受けとめ、自信が持てるようになるといいですね)
7.「恋愛・関係性」
(小学校)
▼この「ドキドキ」は何?〜恋愛について感じる(子どもたちにとって、人間関係がしっかりと意識されてくる中で、他者に向かざるを得ない恋愛感情は、関係性を学ぶ絶好の材料です。自分の気持ちの伝え方から、恋愛感情の共通性まで、恋愛からたくさんのことが引きだせるといいですね)
(中学校)
▼避妊・中絶を知り、その意味とそこにつながるコミュニケーションを考える→「ふれあい・性交」を参照
(高校)
▼異性愛って何?〜多様なセクシュアリティと関係性を考える〜→「多様なセクシュアリティ」を参照
8.「性感染症(エイズなど)」
(小学校)
▼エイズを学ぼう〜「共に生きる」意味(エイズに関する情報の発信が減りつつある中で、正確な情報を知らせ、感染経路にかかわらず、エイズ患者/HIV感染者と共に生きる社会のイメージが具体的に〜そうした方の生き方を示しながら〜描けるといいですね)
(中学校・高校)
▼より楽しいセックスのために〜性感染症と「性」を話せる関係性を探る〜(エイズを中心とする性感染症の問題は、他人事でなく自分の問題としてとらえられるかと、どんなコミュニケーションができるかにかかっています。具体的な場面設定をして話し合うなどの過程を経て、共生のイメージまで見えてくるといいですね)
9.「商品化」
(中学校)
▼性交と引き換えに何を得るの?(子どもたちの買売春につながる行動を、ただ道徳的に禁止してもほとんど意味はありません。具体的に、性交することによって得られるもの・失うものをいっしょに考えながら、自分で行動を選択する力を持つきっかけができるといいですね)
(高校)
▼性の売り買いをどう思いますか?(援助交際や買売春を考えるとき、ただ周囲に流されているという分析だけでは、子どもたちの気持ちはつかめないでしょう。そもそも「性」は売り買いできるのか、といった本質的な問題まで、教員もともに考えて初めて、土俵ができると言えます。そこから自分をしっかりとらえ自分を大事にする選択ができるようになるといいですね)
10.「性暴力・性的虐待」
(高校)
▼「強制」は気持ちがよくない〜従軍慰安婦問題まで〜(男性が恋愛をリードし、攻撃的であるのをよしとする「神話」が、レイプやセクハラをいまだにはびこらせている現実を作っています。身近な恋愛の場面での「強制」の問題から出発して、男性優位社会の現実を直視することから、従軍慰安婦問題を含む社会認識へつなげていけるといいですね)
11.障害児
▼障害児の性教育に対する要求を大切にし、自分を好きになれる授業が必要とされています。新しい展望が切り開けるといいですね。

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