性と性教育の相談Q&Aシリーズ
第二十二回 「学校で精子と卵子が受精して赤ちゃんになる」って教わったけれど…
- Q:小4の息子に「学校で精子と卵子が受精して赤ちゃんになる」って教わったけれど、どうやって合体させるんだよって尋ねられて困っています。こんなに小さいのにもうそんなこと知りたがるのは変ですか。(母親)
- A:少しも変ではありません。もっと小さい年齢でも この疑問は出てきます。「生まれる前に、私はお母さんのおなかの中にいたんだけど、どうやっておなかの中に入ったの?」「お母さんから生まれたのに、どうして僕は、お父さんに似ているの?」当然の質問だと思いませんか。まずは、「いい質問だ」とほめてあげたいくらいです。
お母さんは「こんなに小さいのに、もうそんなこと」と言われましたが、こんな時、子どもは性交について知りたいと思っているわけではないことに気づいてください。子どもは、精子と卵子がひとつのいのちになる仕組みを知りたい、自分のいのちの成り立ちを知りたいと思っているのです。小4として当然の、ひょっとしたら、少々ゆっくりめの疑問と考えてもさしつかえなさそうです。
精子がペニス(陰茎)の先端の尿道口から射精されることは学校で習っているはずです。
さて、この場合、単純に仕組みを話すのですから、「愛し合っていた、好きあっていた、赤ちゃんを欲しいと思った、結婚していた」などという説明は省き、視点を子ども(受精卵)に置いて話してください。
精子と卵子が無事、安全に出あうには、固く大きくなったペニスを、湿ってペニスが入りやすくなったワギナ(膣)にいれて射精する。すると、たくさんの精子は卵子をめざして細い卵管の中を進み、その中のひとつの精子が卵子に入り込むと、受精卵になり、いのちの可能性がスタートする。つまり、これが「いのちのはじまり」、あなたも、こうして生まれることになった―――そう話せば十分です。もっと何かおっしゃりたいとすれば、「ねえ、からだって、本当によくできていると思わない!」とでも付け足せばよいのでしょうか。(安達 倭雅子)