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性と性教育の相談Q&Aシリーズ

第二十六回 男性の保育士が
        女の子のおむつの交換をするのは…

Q:私の子どもを預けてある保育園には最近の流行ですか、男性の保育士がいます。保育園だって、力仕事もあるでしょうから、男手は必要です。乱暴な男の子の遊び相手には女の保育士さんよりいいかもしれません。でも、男性の保育士が女の子のおむつの交換をするのはおかしいです。少なくとも、家の女の子には女性の保育士さんに交換してもらいたいですよ。相談員さんどう思われますか。(母親)
A:相談員である私個人の考え方をおたずねですね。私は、まず、男性保育士の存在を流行とは考えずに「やっと、日本もそこまで来たか、それにしてもまだまだ少ないな」と考えています。子どもの教育環境は、一般的な理想論でいえば、(性分化疾患の人や、マザー&マザーやファザー&ファザーを否定しない範囲で)男女のバランスがよい方が好ましいと思っています。力仕事のためではありません。
 おむつの交換のことですが、女の子のおむつをもし男性保育士に頼めないとおっしゃるのなら、従来、男性保育士がほとんど存在しなかった頃の、男の子のおむつを女性保育士が交換していた長い歴史はどう説明すべきでしょうか。
 女は男の赤ちゃんの性器を見ても何も感じないけれど、男は女の赤ちゃんの性器を(おむつ交換と言えども)見れば何を考えるかわかったものじゃないという意味なら、それは男のセクシュアリティにも女のセクシュアリティにも失礼な発想です。同時にその発想は発想する人の性的品格の問題でもあります。
 世の中に、男性の婦人科医も産科医もいますよ・・・・と申し上げると、お母さん、あなたは「それは医師という専門家ですから」とお答えになるでしょうか。もちろん、男性保育士は保育の専門家です。もしかして、あなたが、医師の専門性と保育士の専門性に上下を感じていらっしゃるとしたら、それは再考の必要があるかもしれません。
 とは言え、この男女の性意識の混乱は、差別や生活上のご都合から私たちの暮らしの中では他にも見られます。
 老人を介護する時、息子の嫁が、息子の父親の下の世話をすることと、娘の夫が、娘の母親の下の世話をすることが、まったく同じ話としては受け取れないということはありませんか。お母さん、私たちって、進歩して行かなければならない課題が、まだたくさんありそうですね。
(安達 倭雅子)

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